「訳あり」商品はなぜ売れるのか?

あえて難しくマーケティング用語を使って説明してみます。

それは、お得感を感じた上で、「両面提示広告」によって売り手の”誠実さ”を感じること。

そして、購入後の「認知的不協和」という”後悔の念”が起きにくいため満足度が高いためです。

買い手の立場から考えてみる

ところで、今回は、いつもの”売り手”の立場ではなく、”買い手”の立場から考えてみたいと思います。

買い手として、「訳あり」商品とどう付き合うべきかです。

まず、大前提として、「訳あり」に反応するターゲットは”お得”に反応する層です。

もし、あなたが訳あり商品がお好きなら傾向としてお得に弱いと言えます。

つまり、後述しますが、お得に惑わされて無駄な買い物をする可能性があると言うことになります。

「訳あり」商品の基本仕様

次に、「訳あり」商品の基本仕様についてまとめてみます。

これは、あなたが自社商品・サービスを企画する際にも参考になります。

まず、訳あり”部分”を提示するのですが、必ず購入者にとって”さほど重視されていない箇所”にします。

次に、購入者が”重視している箇所”については問題がないことを明確に説明します。

このようにした上で、その分価格が安いことを強調します。

「インチキ訳あり」商品とは

今度は、この仕様を巧みに使った「インチキ訳あり」商品はどのように作られているのかをご紹介します。

これが理解できれば、お得キーワードに惑わされて無駄な買い物をしなくて済みます。

まず、ポジティブ面とネガティブ面の両面を見せた広告のことを「両面提示広告」といいます。

このようにネガティブ面もしっかりと見せられていると、一般的には誠実さを感じます。

ところが、「インチキ訳あり」商品は、見せているネガティブ面が、買い手にとって”重視されない箇所”だけなのです。

本当は、重視するべき箇所にもネガティブ面があるのに、それについては隠して提示していないということです。

これが「インチキ訳あり」商品の実態です。

ネガティブ面が見せられているので、それで信用して安心してしまう訳です。

「訳あり」商品は売れ続ける理由

ところで、どうして「訳あり」商品は売れるのでしょうか?

人は何かを買うと、多かれ少なかれ後悔します。

そして、その感情を何とか正当化しようとします。

この後悔のことをマーケティング用語で「認知的不協和」と言います。

逆に、これを売り手側でマーケティングの力で正当化してあげることができるとリピートにつながったりします。

「訳あり」商品がすっかり定着して売れ続けている理由は、購入した自分に対する自己正当化がしやすい点にあります。

訳あり商品は、通常よりも”安く買えた”という自己正当化がしやすいわけです。

ですから、過去の購入で後悔していないので、訳ありなら安心して買えるという精神状態になっている訳です。

そのように考えると、やはり私たちも「訳あり」商品・サービスを今後も積極的に企画すべきです。

ただし、本当に誠実にネガティブ面を隠さずに提示することが重要です。

今の時代は、すぐにインチキは見破られますからあっという間に評判が下がります。

「訳あり」商品を企画する方法

それでは、ここからは”売り手”の立場に戻って、今後の私たちの「訳あり」商品の企画の仕方を考えてみたいと思います。

企画する”訳あり”の場合は、物理的な”訳”は必要ありません。

つまり、本当の訳あり商品よりももっと広い意味での訳あり商品が企画できるのです。

物理的な”訳”というのは、例えば、”足が折れたカニ”などです。

この訳ありは売れやすいですが、逆に考えると、物理的に足が折れたカニがないとこの商品は用意できないわけです。

企画の場合は、商品・サービスの仕様を変えるだけなので在庫に制限がなくなる訳です。

例えば、”ゴルフの早朝プレイ”は広い意味での訳あり商品です。

”早朝で朝早くて大変ですが、その分安く回れます。”

広い意味での訳あり商品を企画するポイントは、訳あり箇所をターゲットが重視していない箇所することです。

そして、売り手とこの点で利害が一致していればいいわけです。

早朝時間は、早い時間でもプレイしたいターゲットにとってはデメリットになりません。

ゴルフコース側としては、早朝時間は予約が入りませんから安価に提供しても施設を無駄なく使ってもらった方が合理的です。

このように考えると、いくらでも訳ありの企画というのは可能になります。

例えば、”居酒屋の早い時間生ビール半額”、”ガソリンスタンドの雨の日戦車半額”なども企画だけで在庫は必要ありません。

このように「訳あり」商品は今後も売れ続けます。

是非、あなたも積極的に「訳あり」を企画してあなたの商品・サービスに組み込んで下さい。