イチキュッパを代表とする端数価格が強い理由は、お釣りが戻ってくることです。お釣りは少額であっても利益と感じられる「釣り銭効果」というのがあります。消費税は、税込み価格になると端数によるお釣り効果を消してしまいましたが、消費税が10%になったことで逆に使える可能性があります。

少額でも利益と感じられる「釣り銭効果」

端数価格が強い理由は、お釣りが戻ってくることです。

少額でも利益と感じられる「釣り銭効果」というのがあるからです。

1,980円なら千円札2枚で20円戻ってきます。

このたったの20円が利益に感じられる訳です。

ところが、税込み価格2,178円となると、逆に”端数”がちょこっと(いや、かなり)出ています。

仮に、ちょこっと出ている価格が2,020円であっても、この20円という少額でさえも人は損失と知覚します。

大袈裟に言えば、これが支出への痛みになります。

178円となると、かなりの支出への痛みです。

消費税の税込み価格の恐い点はここにあります。

やはり、消費税10%増への影響がジワジワと出始めているようです。

そのため、売上げが落ちていると感じる経営者も多いかと思います。

10%消費税は、税込み価格が計算しやすいです。

そのため、ジャストの価格表記はなるべく避けた方が賢明です。

例えば、20,000円や35,000円などは、悪い例です。

税込み価格が、小学生でも計算ができるからです。

では、王道の端数価格はどうでしょうか?

例えば、従来の主流であったイチキュッパを考えてみます。

価格が19,800円だと、税込み価格は21,780円となります。

19,800円はジャスト価格ではないので、やはり端数価格は悪くないようにも感じます。

ただ、消費者も10%時代に慣れてきて、こういった端数価格を税込み価格を瞬時に計算しているはずです。

つまり、19,800円を20,000円に繰り上げて、10%加算して22,000円と計算する訳です。

事実、私はこのように計算しています。

これは、恐らく消費税8%の頃にはなかった脳内変換です。

ところが、10%の場合は計算が簡単なので、大半の人がこういった計算をしていると考えるべきです。

では、イチキュッパの王道価格表記はもはや通用しないのでしょうか?

私はやり方次第で、まだイチキュッパは使える思っています。

10%時代は、ジャスト価格に強いです。

このことを逆に利用して、税込み価格で表記するのです。

実は、税込み価格の表記は、8%時代はイマイチでした。

消費税8%の場合は、1,000円単位の価格でない限りは、税込み価格が1円台の端数になるからです。

例えば、19,800円なら21,384円といった感じです。

つまり、税込み価格の表記が、ジャストにならず、美しくなく、加えて税込みであることが丸わかりでした。

ところが、10%計算ですと、税込み価格がジャスト表記にすることができます。

18,000円なら19,800円を税込み価格として表記できます。

これなら、”税込み”で”イチキュッパ”ですからインパクトは強いはずです。

値下げをする訳ではありません

もちろん、元々19,800円で売っていた商品を18,000円に値下げするという話ではありません。

そんなことをしたらデフレ時代に逆戻りです。

あくまでも、税込み価格をイチキュッパにして端数価格の強みを生かすという意味です。

日本の場合は、イチキュッパやニキュッパなどの「8」の数字が最強ですが、本質は端数価格で「お釣りが来る」と感じてもらうことにあります。

少々乱暴ですが、例を出してみたいと思います。

今までの価格が19,800円の商品であれば、22,500円に値上げして税込み価格24,750円と表記すればいいわけです。

これなら、「1万円札二枚と5千円冊でお釣りが戻ってくる」になります。

ちょっと例としては乱暴過ぎましたが、”端数を使う”ということをお伝えしたいわけです。

端数表記で、「税込みでもお釣りが戻る」、あるいは、わかりやすい「ジャスト金額の範囲内で購入できる」ということを伝える訳です。

例えば、こんな感じになります。

18,000円 ⇒ 19,800円(税込み)
27,000円 ⇒ 29,700円(税込み)
36,000円 ⇒ 39,600円(税込み)
45,000円 ⇒ 49,500円(税込み)

考えようによっては利用範囲は広い

全てのビジネスで使えるとは思いませんし、すでに売っている商品・サービスの場合は、値上げか値下げをする必要があるため現実的ではないかもしれません。

そうは言っても、新しい商品・サービスの場合は活用できますし、考えようによっては利用範囲は広いと思います。