今、『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』という本を読んでいます。ベストセラーになっているみたいでかなり面白い本です。この本の最初に、「自動運転」の未来について書かれていました。今回は、この著者による未来の予想に私の私見を加えて、10年後の自動運転が実現している世の中を予想してみたいと思います。そして、その時代にどう備えばいいのかのヒントになればと思っています。

常識が変わる自動運転の未来

あと10年で完全な自動運転が実用化されるそうです。

キムタクがCMでやっている日産のオートパイロットは、言うなれば序の口です。

これは、高速道路だけでしか使えず、加えてドライバーは運転席に座って前方を見てないと機能しません。

もちろん、これだけでも十分にすごいのですが、完全な自動運転のすごさはこの比ではありません。

完全な自動運転では、ドライバーは不要です。

乗車している人は、車内で何をやっていてもOKで、車が勝手に目的地まで連れて行ってくれるのです。

自動車は、運転するものではなく、利用するという形態に変わり、恐らく運転免許の存在意義がなくなっていくはずです。

さらに、自動車を自分で所有する必要もなくなり、スマホで予約すれば自宅前まで来てくれて目的地まで運んでくれるようになります。

つまり、車は、所有からシェア、レンタルが当たり前になります。

このような状況が、10年以内に、ほぼ確実に実現されると言われています。

こうなると、今の自動車メーカーは縮小を余儀なくされます。

私は、日本の自動車メーカーはトヨタを中心として1社程度に統合されると予想します。

道路上の車の大半が、完全な自動運転の車になれば渋滞は起こりません。

また、人為ミスによる交通事故も起こらなくなります。

事故の発生率が極めて低くなるなら、これまでのような頑健な衝突強度を車体に求める必要はなくなります。

加えて、エンジンは電気モーターに変わるため、構造がシンプルになり、今のガソリン車における技術による燃費などの差がなくなります。

構造がシンプルになれば、ベンチャーによる自動運転車への参入が加速して車体価格も下がるでしょう。

それ以前に、車の役割が、本来の移動に加えて、移動時間を快適に過ごすための空間となります。

そして、その新たな快適な空間としての価値の競争になります。

また、車の価値観の変化は、自動車産業、車社会を支えるサービスにも大きな影響を与えます。

自動車産業の裾野は広いため、社会全体に激変が起こると予想できます。

例えば、自動運転車は昼間であれば常に動いていることになるので、都心に駐車スペースは不要になります。

つまり、都心にある駐車スペースは、全て他に用途に転用が可能になります。

また、街中にあるガソリンスタンドもほぼ必要なくなります。

考え始めると枚挙にいとまないぐらいに、いろいろなサービスが消えたり、大きな変化をすることになりそうです。

通勤はどうなるのか?

車での移動時間が、車内で何でもできる時間になると通勤も変わります。

そもそも、10年後にはリモートワークが当たり前になって通勤自体が激減している可能性も高そうです。

ただ、通勤がゼロになることはないはずで、大半の会社の場合は、一週間に数回程度の出社になると思います。

そうなると、中途半端に家賃や地代が高い首都圏近郊に住んでいることはコスパが悪くて意味がありません。

ほとんどのファミリー世帯にとって、中途半端に高くて間取りも狭い首都圏の住居に住む理由はなくなります。

仮に、週に数回の出社でよくて、しかも移動時間の車内での時間が自由に使えるのであれば、片道3時間かかってもいいと思う人も出てくるでしょう。

移動時間中は、仕事もできるし、趣味の時間にもなるし、もちろん寝ていてもいいし、帰宅時は飲んでいてもいいわけです。

さて、自動運転車で片道3時間なら東京からどこまで移動できるでしょうか?

一般道であっても渋滞がなければ相当走れますし、高速を使うなら100km単位で移動ができます。

つまり、勤務先は首都圏であっても、そういった場所に住む人が普通に出てくる時代になります。

もちろん、移動コストの問題もありますが、”自動運転車での移動コスト < 都心との家賃の差額+会社からの交通費”になるのは確実なので問題ないはずです。

地方生活は不便ではないのか?

そうは言っても、ある程度の都市部に住まないと生活が不便ではないかという考えもあります。

買い物ができない、医療が不便な生活になってしまっては本末転倒です。

そうなると、東京からそこそこ離れても”今”の地方の都市部に住むことになり、地代家賃はそれほど下がらないとの考えも出てきます。

ただ、この問題も10年後には、想像を超えた変化をしているはずです。

まず、買い物ですが、何でも注文すれば数十分でドローンが届けてくれる時代になります。

人が運ぶわけではありませんから、配送料は恐らく無料でしょう。

医療は遠隔医療が当たり前になり、それ以前に診断は大抵のことはAIによって行われます。

AIでは無理で医師が必要なケースが残るかどうかは疑問ですが、仮にそんな状況になっても遠隔で高速5G通信でベテラン医師が対応してくれるでしょう。

救急搬送も専用の高速移動が可能な自動運転車が登場して、恐らく車内には研修医などが常在している感じになると思います。

病院に運ぶまでもなく、そのまま車内で治療や処置が行われるように思います。

また、仮にへき地での救急搬送が必要になっても、人を運べるドローンが登場するので問題なくなります。

ところで、地方に人が移動するのであれば、地方の地代や家賃が上がるのではと言う心配もあります。

ただ、日本の人口が減っているので上がる可能性は低く、いいところ今の価格が維持される程度だと思います。

一方の首都圏はどうなるかですが、本当の中心部である千代田、中央、港ぐらいは極端に価値が下がる可能性は低いと思います。

ただ、そう言った本当の中心以外は確実に下がると予想できます。

特に、都心から中途半端な距離にある、1時間以内の通勤圏の場所は、完全に割高になるため大きく下がるはずです。

以上、私見を加えた自動運転の未来の予想でした。

もちろん、「こんな未来は来ない」と思うのも自由です。

ただ、技術革新の流れは止まらないので、完全自動運転車が登場すれば何らかの変化は確実に起きます。

何が起きそうかをある程度予想しておけば、変化が起き始めた際にあたふたしないで済むと私は思っています。

冒頭でご紹介した本は、米国のこととして書かれていますが日本も全く同じだと思います。

『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』
https://amzn.to/3sZcV7i

今日も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。