前回に続いて、大手企業からの情報漏えいの話です。
最近は、次々と情報漏えいのニュースが報じられています。
「自分の情報も漏れているのでは?」
「誰かに悪用されるのでは?」
そんな不安を感じる方も多いと思います。
しかし、「情報が漏れたこと」と「実際に被害に遭うこと」は別です。
もちろん、情報漏えいを軽く考えていいわけではないです。
ただ、心配ばかりしても、私たちには漏れた情報を取り戻すことはできません。
それよりも、今、私たち自身でできる対策をしておく方が、ずっと有意義です。
今回は、私なりの重要な3つのポイントをお伝えします。
まずはパスワードの使い回しをやめる
情報漏えいで怖いことの一つが、漏れたパスワードを使って、一網打尽に別のサービスにまで不正ログインされることです。
もし大切な銀行やメールサービスでも同じパスワードを使っていたら被害が大きくなります。
そもそも、企業のサーバーから情報が漏れることを私たち利用者が防ぐのは困難です。
だからと言って、ネット上のサービスをすべて使うのをやめるというのは現代社会では現実的ではありません。
しかし、パスワードの使い回しをやめることなら今すぐできます。
特に優先して使い回しをチェックしたたいのは、メール、銀行、証券、決済サービスなどです。
お奨めは、パスワードマネージャーの利用です。
人手では限界があるので、パスワードマネージャーでサービスごとに異なるパスワードを設定するのが効率的です。
また、パスキーや多要素認証も可能な限り設定すべきです。
その他の登録しているサービスすべてを一度に変更するのが理想ですが、やはり現実的ではないです。
ただ、金融系の重要なアカウントについてはすぐやった方がいいです。
ところで、技術的な観点から申し上げると、実際にはパスワードの漏洩というのは起こりにくいという話もしておきます。
現在の一般的な技術を使っている限りでは、パスワードはいわゆる生データで企業側に保存されていることはありません。
基本的に、パスワードの文字列は暗号化されてから、不可逆(解読できない)の状態で保存されているのが一般的です。
つまり、漏洩してもパスワードとしては使えないのです。
もちろん、時代遅れの技術を使っている企業もあるので安心はできません。
だからこそ、使い回しが一番恐いのです。
免許証などの本人確認書類は提出先を把握する
私が特に気にしているのは、運転免許証などの本人確認書類の画像です。
免許証には、氏名、住所、生年月日、顔写真などが記載されています。
こうした情報がまとまって流出すると、本人確認を悪用する材料にされるおそれがあります。
海外に流出している話もあるので、そうなると詐欺やスパイ活動に使われる可能性があります。
写真を使って生成AIでどのように使われるかもわかりません。
そこで、まずは、過去にどのサービスへ画像で免許証を提出したかを確認しておくことです。
おそらく、銀行や証券会社、レンタカー、その他の会員登録などのはずです。
私も実際にGmailの履歴を検索し、本人確認書類を提出したサービスを洗い出してみました。
やり方は、生成AIに教えてもらったのですが、Gmailで以下のワードで検索してみました。
> “本人確認書類” OR “本人確認が完了” OR “eKYC” OR “免許証” OR “マイナンバーカード”
結果は、銀行や証券会社などの金融系がほとんどでした。
もし、もう利用していないサービスがあれば、退会とあわせて、画像の保管状況や削除の可否を確認することをおすすめします。
ところで、一点注意したいのは、退会したからといって、本人確認書類まで削除されるとは限らないことです。
法令上の保存義務などにより、一定期間保管される場合もあります。
問い合わせる際は、「提出した本人確認書類は現在も保管されていますか? 不要になった場合、削除できますか?」と確認した方がいいです。
そして、可能なら削除を依頼して下さい。
また、今後の話ですが、新たな個人情報の登録の際に、本人確認に画像をアップロードする以外の方法がないかを確認してみてください。
政府も推奨しているように、今後はマイナンバーカードのICチップを利用した公的個人認証の方が主流になるはずです。
情報漏えいのニュースに振り回されない
また、大手メディアが調子に乗って大騒ぎしています。
不正ログイン、金銭被害、なりすましなど、深刻な事例を紹介してくれています。
しかし、情報が漏れた人すべてに、同じ被害が起きるわけではありません。
一部の被害にあった人のことが紹介されているのをみて、自分も同じ被害があるのではと過剰に心配する必要はありません。
脅かして注目を集めて視聴率を稼ぐ、これが大手メディアのやり口なのです。
さて、昨今の相次ぐ企業の情報漏洩には、高度化した生成AIが原因という節があります。
次世代AIとして語られる「Claude Mythos(ミュトス)」のような高度なAIモデルが原因ではという話もあります。
ただ、今起きているのは、生成AIによるハッキング行為の効率が上がったのが原因だと思われます。
つまり、懸念されている「Claude Mythos(ミュトス)」などの高度なAIモデルによる被害はまだ起きてないはずということです。
恐らく、ガチの生成AIによる攻撃が起きるのは半年後から一年後と思われていて、その際に大問題になる可能性があります。
ただ、私たちとしては、まだ起きてもいないことを心配しても何の意味もありません。
自分たちができることをやっておくしかありません。
まずは、パスワードの使い回しをやめる、本人確認のために免許証画像をアップしない、は最低限だと思います。