医者にはAIにはない洞察眼がある

山口周さんが、ベストセラー

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』
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の中で、人間である医師にはAIにはできないことがあると述べられてました。

内容としては、まず、具体的症状と問診情報から病気を診断する能力は、AIは近い将来に平均的な医師の能力を凌駕するだろうということ。

ただ、医師は診断だけをしているわけではない。

再発防止に向けて生活習慣を変えさせたり、やる気を持続するようなリハビリを考えたりするのも大事な仕事である。

その際に「観察眼」が重要になる。

例えば、出身地特有の食生活習慣と病気の因果関係で仮説を持つ、入院中に読んでいる本や雑誌から、趣味や生きがいを想像してリハビリを考える、など。

こういった、ちょっとしたヒントから洞察を得ることは人間にしかできない、という内容でした。

確かにその通りで、私もも全く異論ありません。

ちなみに、この『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』は面白くオススメです。

山口さんの書籍としては『ニュータイプの時代』も面白かったです。
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私は洞察力を使われた経験はない

ただ、私が当たった医者がたまたまそうだったのか、それとも私が当たっている医者の絶対数が少ないのかわかりませんが、私はこれまで、そういった洞察を活かされた診断やアドバイスなどをして頂いたことは一度もありません。

私が普段お世話になるお医者さんは、歯医者さんや皮膚科(水虫)ぐらいです。

それ以外は、もう10年以上数えるほどしかお医者さんにはお世話になっています。

ですから、サンプルが少ないのですが、その経験から言えるのはこんなことです。

例えば、一番最後に風邪の症状のようなもので医者に行ったのが10年以上前です。

その時の診断は、先生はPCを叩きながら問診して、薬を処方して終わりです。

診察時間は、時間にして3分ほどです。

その医院に行ったのはそれが最後です。

ちなみに、抗生物質を処方されたのですが、飲みたくなかったのでそれだけ飲まずに捨てました。

次に、盲腸で救急搬送されたことがあったのですが、救急対応の夜勤の医者が整形外科医でいつまでたっても診断が出ず、結局当直の先生が起きてきてくれて診断がつきました。

痛み止めを打ってもらうまで、随分時間がかかったのを覚えてます。

一番最近は、ヘルペスで皮膚科に行ったのですが、このときは虫眼鏡で見てすぐに診断してもらってさすがプロと思いました。

ただ、これもよく考えると、恐らく高画質で画像を送れば遠隔地のドクターが診断可能でしょうし、近い将来AIが診断できるレベルと思われます。

いずれにしても、この皮膚科はいつもアホみたいに込んでいて、その日も軽く30分は待たされて診断は3分ぐらいでした。

洞察力を使う余裕があるのか?

このように、私の数少ない被診断体験ではありますが、いわゆる「洞察力」を使われたことは皆無なわけです。

そして、盲腸を含めて、どれもAIで診断可能、しかも遙かに敏速に診断可能になるのではと思われます。

恐らく、世の中のお医者さんにかかっている方が受けている診察についても大差ないのではないでしょうか?

つまり、ほとんどのケースで洞察力が使われるケースなどはないと思われます。

そもそも、どのお医者さんもそうですが、忙しくて洞察なんてしている暇などないようにも感じます。

これが、私が近い将来今の医者のやっている診断は、AIでも十分以上でああろうと思っている理由です。

もちろん、洞察力があるような名医というか、人間性の高いドクターは、どんなにAIによる診断が高度化しても医者として生き残るとは思います。

ただ、大半のドクター、特に内科医を中心とした診断と薬の処方しかやっていないような医者の出番はなくなるということです。

AIなんて信頼できないへの反論

ところで、「AIなど信用できない」という意見もあると思いますが、逆に私はなぜそこまで人間を信頼できるのかの方が不思議です。

例えば、医学の進歩などのスピードや情報の範囲の広さは、普段から臨床で忙しいドクターが、とても仕事に合間でキャッチアップできるレベルの知識量とは思えません。

また、医者による誤診とAIによる誤診は根本的に異なります。

AIの誤診は、いわゆる不具合(バグ)なのでプログラムを修正すると全体的に一気に修正がされます。

生身の医者の場合は、そもそも持っている知識もそうですが、疲労度や衰えなども考慮すると修正が難しいと思われます。

実は、医療診断のAIは、既にビッグデータさえ用意できれば実現可能な技術です。

そう考えると、医師側がAI化を避けるためにビッグデータの収集に協力しない可能性もあります。

ただ、今は何ごともグローバルに物事が進むので、日本でビッグデータが収集できなくても他国でのビッグデータで代用される可能性もあります。

個人的には、5年以内、遅くとも10年以内に内科医を初めとする診断については、何らかの形でAIが導入されると考えています。