人は変化を拒む傾向が強いのは現状維持バイアスなどが理由と言われていますが、この先の時代はそんなことを言っている場合ではありません。時代の変化に強くなるためには、情報武装すること、そしてその情報のリソースとなるのは「人」と「本」ですが、「人」の方が何倍も重要です。

ここ2年のコロナ過というのは、変化に対応できる人間とそうでない人間を見事にあぶり出したような気がしています。

私の人生経験は、たかだか55年の人生ですが、こんなに多く”まさか”ということが起きた時期はこれまでありませんでした。

時代の変化の激しさという意味では、10年前の福島原発事故の頃のはるか上を行っていました。

そして、今後さらに変化の激しい時代に突入すると言っても、否定する人の方が少ないでしょう。

ところで、あなたは今何歳ですか、人生100年としたら後何年生きることになりますか?

人が変化を拒む理由

人が変わるのを拒む理由として、よく言われるのが現状維持バイアスによるものがあります。

現状維持バイアスとは、文字通り現状を維持することに対する偏った考え方です。

現状を変えてしまうことは損失につながりやすいので、現状維持に固執してしまうという考え方です。

もちろん、変化をすると、状況が今より悪くなる可能性もあり結果的に失敗する可能性もあります。

そう考えると、現状を維持していた方がリスクがないし無駄な努力をする必要もないと考えるのは合理性があるように思えます。

しかも、現代は周りの目もあるため、批判されたりする可能性もあります。

特に、日本の場合は同調圧力が強烈ですからそれに対して恐れている人は多いです。

このように、現状を維持する方が無難であり安全と考えているので、自然と私たちは変化しなくてもいい理由を探してしまうということです。

もちろん、現状維持した方がよい可能性もあります。

ただ、考え方が偏っていてバランスの取れた判断ができないと、非合理的な選択をする可能性も大いにあります。

変化を拒んでいる場合でない

変化を拒んだ人の末路の例えとして、よくゆでガエルの話がでてきます。

鍋の中で水に浸かっているカエルの鍋をゆっくり温めていくと、カエルは温度の変化に気づかずに茹で上がって死んでしまう、というやつです。

ゆっくりと温度が上がるお湯が変化、カエルが変化を拒んで現状を維持している人ということです。

この例えはもちろん真理なのですが、実は、これまではそんなに目立ってこのような事態はなかったように思います。

これまでの時代は、ゆであがる前に逃げ切れることの方がどちらかと言えば多かったと私は感じています。

ただ、これから先の時代は恐ろしいほど変化が早い時代と言われています。

そして、全世界がこのことをここ2年ほどで実感しました。

そのように言うと「今回はたまたまコロナが起きたから」という人もいると思いますが、私はそうは思いません。

今回のコロナ騒動は時代の流れを速めるトリガーになったのですが、今後も時代の流れる速度を高めるトリガーは形を変えて表れるはずです。

事実、10年前の福島原発事故だってトリガーの1つです。

今回は、原発事故からコロナ騒動まで10年の間隔がありましたが、次はもっと短い間隔でトリガーとなる事態が発生すると思います。

そうなってくると、この先はどんどん逃げ切れる人の割合はかなり下がると思います。

茹で上げられてしまう割合が、これまでのごく一部から半分ぐらいに拡大する。

しかも、もしコロナのような変化を加速する事態が起これば、一気に茹で上げられるということです。

すぐ先の未来がそのような時代になると分かっているのであれば、変化することを拒んでいる場合ではないと思うのです。

そして、もちろん、変化を加速する事態が起こらなくても、テクノロジーの進化で着々と変化のスピードは上がっています。

多くの人が知っているテクノロジーの名前で言えば、AIや5G、3Dプリンタなどが分かりやすいところです。

この本「2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ」をお読みになった方はご存じだと思いますが、これらは時代を変えるテクノロジーの一部、もっと言えば氷山の一角です。

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この本に書かれていることは、絵空事でもなんでもなく現在進行形の話です。

自分のいる業界が新しいテクノロジーの進化で2030年を待たずに、5年後にどうなっているかを考えたことがない人は一度向き合ってみるべきと思います。

変化として、最初はアルバイトにできる仕事が機械に置き換わることから始まるでしょう。

そして、専門業の頂点に立っている業種と言える医者や弁護士でも全く安泰とは言えません。

私は、内科医の診断は必要なくなると思っています。

もちろん、取って代わるのはAIです。

同様に、弁護士の仕事も過去の判例を調べるような助手の仕事は取って代われるはずです。

どちらも、AIの方が早くて正確だから人を使う理由がなくなるわけです。

もちろん実際にどうなるかは分かりませんが、可能性がある、しかも十分にあるということを認識できているかが重要です。

医者と弁護士でさえこうなのですから、他の業界の変化がもっと激しくなることは容易に想像できるはずです。

変化に強くなる方法

変化に対する恐怖をなくすためにやるべきことは、まずは情報武装だと思います。

変化への耐性を高めるために、それを凌駕する知識を増やすということです。

そのためには、優良な情報入力元が必要になりますが、それは具体的にはよい友人と良書です。

本についての情報は、赤の他人であるメディアからも入手できますが、情報の種類が自分の好みに偏る問題があります。

一方、知り合いから紹介してもらう本のいい点は、自分で選んでいないため多様性が広がる点です。

そういった意味でも、本よりも人の方が圧倒的に重要です。

そのために、思い切って付き合う人を変える決断が必要になるかもしれません。

これは「今の友人を捨てろ」と聞こえて、冷たいように感じるかもしれません。

ただ、冷静に考えるとわかるのですが、大人の人付き合いというのは相当仲がよくてもそもそもそんなに長く続きません。

しかも、実際問題としては、こちらから一方的に絶縁宣言をするわけではなく、ゆっくりとフェードアウトしていけばいいだけです。

重要なことは、あなたが意志を持って、現状維持バイアスを払いのけて、これまでとは付き合う人の種類を変えるということです。

ところで、知識ばかり詰め込んで情報武装すると、頭でっかちになる危険はあります。

ただ、ソクラテスの言うように「無知は罪」ですから、それよりはるかにマシです。

そういった心配は、頭でっかちになるぐらいまで情報武装してから考えればいいことです。

事実、知識が蓄積されてくると、古い情報にしがみついていることの意味のなさがわかり、いくらでも自分が変われることが分かるはずです。

また、ビジネスの現場においては、遭遇する変化に対して細かく対応ができ、しかも小さな労力で変化に順応できるはずです。

情報武装には本からのインプットが手っ取り早いですし、本をこれまで以上に読むことだけでも変化に強くなり自信を持てるようになると思います。

ただ、私はやっぱり人の方が何倍も重要だと思っています。

人付き合いは面倒臭いことも多いですが、本だけで済まさずに人に向き合うと、もっと変化に強くなれると思います。