こんにちは、藤田です。

今回もメルマガをお届けします。

メリットを上回るデメリット

パーキンソンの法則と呼ばれるものがあるのですが、意味は「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」といことです。

これは、人は時間を与えられると、その時間をすべて使い切ってしまうという傾向を指していることのようです。

つまり、作業にたっぷり時間があると、集中力が途切れたり、不要な作業をしてしまったりする弱さが出てしまうということです。

あるいは、完璧主義に陥ってしまって、結局時間がかかってしまうということです。

そこで、締め切りを設定することで、締め切りまでに終わらせようと集中力が高まり、無駄な作業が省かれ、効率よく作業を進めることができるという、「締め切り効果」と呼ばれるすばらしい手法が生まれます。

事実、締め切りを設定して作業に取り組むことによってさまざまなメリットがあります。

まず、集中力が高まってスイッチが入りやすくなります。

締め切りという期限があるので先延ばしの防止されます。

限られた時間の中で「最低限必要な形」まで持っていく意識になり、時間効率が上がります。

期限を設定するぐらいなので、今目の前にある作業の中から取り組むべき作業の優先順位が明確にできます。

人によっては、これが一番意味があると思われることとして、完璧主義が抑制されて作業に無限に手をかけずにある程度のところで区切れる効果があります。

この良いことずくめとも思える「締め切り効果」ですが、現実的には使いものになりません。

恐らくあなたも一度はやったことがあり、効果も感じていると思います。

従業員として仕事をしている人なら、上司から作業の期限を決められると仕方なくやることはあると思います。

でも、自らもう一度やろうとも思わないのではないでしょうか?

この理由は明白で、メリットを上回るデメリットがあるからです。

まず、大抵の人の場合は、締め切りにより精神的なプレッシャーや焦りを感じやすくなり心身ともに疲弊してします。

ごくたまに使うなら問題ないでしょうが、1日何回も使うなど論外で、毎日1回ぐらいの頻度でやるのでさえストレスに感じると思います。

次に、割り当てる時間の長さを間違えるとアウトプットの品質が低下するだけになります。

これでは本末転倒とも言えて、手抜きの言い訳にさえなってしまいます。

締め切りという後ろが決められると、心の余裕がなくなることで創造性が失われ、職種によっては重要となるイノベーションが阻害されます。

そもそも、集中力とスピードを維持して作業を続けるというのは疲労が蓄積するので結果的に燃え尽きます。

一度燃え尽きると、なかなか元には戻りませんから、中長期的に考えると使ってはいけない手法とさえ言えます。

このように、「締め切り効果」は明らかにメリットを上回るデメリットがあるのですが、未だに作業効率を上げる方法の1番手として常にメディアやビジネス書であげられます。

信奉されていると言っても過言ではありません。

「締め切り効果」が信奉されてきた理由

「締め切り効果」が、実際には使いものにならないのに信奉されている理由は、強く共感したくなるポイントがいくつかあるからです。

まず、ほとんどの人は「先延ばし癖」を持っていて、そのことに自分自身で悩んでいます。

この悩みを解消してくれるのが、「締め切り効果」です。

誰でも一度は経験したことがあるのが時間的プレッシャーの中で高い集中力を発揮できる「火事場の馬鹿力」です。

この普遍的とも言える成功経験が、締め切り効果の信憑性への共感を得ているわけです。

次に、何と言っても、シンプルで分かりやすいからです。

締め切りを設定するという行動は、わかりやすくて誰にでもすぐに実行可能です。

しかも即効性があって、やれば確実に効果を発揮します。

そのため、現代人に自然と共感を得るため、頻繁にメディアやビジネス書で繰り返し取り上げられるわけです。

そして、ほとんど全ての人は継続的には使えないので、日々の作業をする上では実際には使いものにならないことがわかっています。

それにも関わらず、メディアなどで目にする度に性懲りもなく共感してしまのです。

この理由は何でしょうか?

それは、使いこなせなかった自分が悪いと思い込んでいる人が多いからです。

これは、締め切り効果が有効なことが明白なので否定できない、使いこなせない”自分のせい”だとなるのです。

以上が、実践しやすい「生産性向上の特効薬」として今でも信じられている理由だと思われます。

デメリットをなくす秘策「粗完成」

では、都合よくデメリットをなくしてメリットだけを享受できる方法はないのでしょうか?

実は、期限を決めて作業をするのだ大嫌いだった私でもやってみようかなとも思える方法があります。

それは、1つの作業を3つの工程を分けて、最初と最後の行程に締め切りを設定する方法です。

しかも、この3行程を行う日を分けると締め切り効果によるデメリットをほとんど感じなくなります。

3つの行程とは、

  1. 粗完成(時間を決めて一気に仕上げる)
  2. 寝かせる(見直してどうするか頭だけで考える、立ち止まって振り返る)
  3. 本完成(方針を決めて最後まで仕上げ)

という流れです。

例えば、私が定期的に書いているメルマガもこの方法で書いています。

水曜日に粗完成させ、その日の夜まで寝かせて、翌日の午前中に仕上げて本完成させるという流れで作業しています。

ポイントとなるのは「粗完成」です。

粗完成という区切りによって集中して一気にアウトプットができて、さらに達成感も得られます。

完璧ではないが一区切りついた」という満足感も得られます。

次の行程の「寝かせる」があるので、一気にアウトプットしている作業中に少々気になることがあっても気にせずに進められる安心感があります。

また、「寝かせた」上での「本完成」という仕上げの行程が確保されているので、やっつけ感を感じることなく戦略的な一時完成という位置づけで作業ができるのです。

そして、実際にこの方法で作業をやってみるとわかりますが、「寝かせる」行程が思いの外よく機能します。

いったん立ち止まる時間を確保することの効果は大きいです。

このおかげで「本完成」にかける時間が短時間で済んで、アウトプットの完成度も心理的な満足感も上がります。

もちろん、すべての仕事の作業に使える訳ではありませんが、職種や作業内容によっては十分に使える方法だと思います。