こんにちは、藤田です。
今回もメルマガをお届けします。
非現実的だった自前アプリの開発
士業、具体的には弁護士、税理士、社労士などをされている方には、顧客と個々のやり取りに使うために自前のアプリを持ちたいというニーズがあります。
具体的に欲しいとされる機能としては、
- 契約状況や進捗確認
- 相談履歴・書類の保存/共有
- 契約書・申請書類のアップロード/ダウンロード
- LINEやメールよりも安全な連絡手段
- 申告期限、手続き締切などのリマインド
- 相談予約の受付、面談スケジュール管理
などだそうです。
総括すると、顧客ごとにパーソナライズされていて、確実に情報共有ができる仕組みが欲しいということです。
私は士業をやったことも、士業の方にお仕事を依頼した事もないです。
ただ、私も個人ビジネスであるコンサルティングをやっていますので、明らかにこういう機能があると便利であることがわかります。
ちなみに、こういったシステムを正攻法で作るとなると軽く1,000万円以上かかります。
この見積金額を聞いてぶっ飛ぶ人も多いと思いますが、これが個人での自前アプリの開発など現実的でない理由です。
どうして、こんな金額になってしまうのかの内訳をご説明します。
このような機能を持つアプリというのは、スマホの中にあるアプリだけで動作するのではありません。
基本的に、スマホのサプリとインターネット上のサーバーとが連携してデータのやり取りをして始めて仕組みとして機能します。
つまり、このような仕組みを開発する場合は、一般の方がスマホアプリと捉えているものを開発するのに加えて、サーバーで動く仕組みを作る必要もあります。
加えてアプリは、iOSとAndroidの2つのバージョンが必要です。
Androidは捨てて、iOSだけにするという方法も考えたくなりますが、現実的にはAndroidを無視することはできません。
また、アプリは、iOSとAndroidともに、アプリストアへの申請・審査をする必要がありこれに結構な手間がかかります。
とどめになりますが、メンテナスをする際には、この3つ(iOS、Android、サーバー)を別々にメンテナンスする必要があります。
金額がWebアプリケーションで1/4、生成AIで更に1/2になる
Webアプリケーション(Webアプリ)というのは何か?
分かりやすい例で言うと、PCのブラウザでAmazonを利用されると思いますが、あの仕組みはWebアプリケーションとして動作しています。
これに対して、スマホで使う場合はAmazonアプリを使うと思います。
このAmazonアプリも含めてあなたが普段スマホでインストールしているアプリは、先ほどご紹介した仕組みで登場したアプリと同じもので、ネイティブアプリと呼ばれています。
これに対して、PWA(Progressive Web App)というアプリというか仕組みがあります。
この仕組みを使うと、WebアプリをスマホやiPadのホーム画面に追加できます。
普通の人は、スマホでAmazonを利用する際はアプリを使いますが、実はSafariなどを使ってAmazonサイトに接続すればPCでAmazonサイトを利用するのと全く同じことができます。
一般の方に分かりやすく伝えるために誤解を恐れずに表現するなら、PWAというのは、ホームページをスマホのアプリとして登録するということです。
PWAアプリは、SafariでAmazonサイトに接続するためのアイコンとも言えます。
これで、登録したホームページ(Webサイト)がWebアプリケーションであれば、見た目も操作感もネイティブアプリとほぼ同じに使えます。
やろうと思えば、オフライン対応やプッシュ通知まで可能です。
そして、当たり前ですが、ブラウザベースなのでiOS/Android両方に対応します。
面倒で難易度の高いストア申請も永久に不要ですし、システムを更新しても即時に反映されます。
ここで金額の話に戻りますが、Webアプリケーションだけの開発にすると、一気に仕組みがシンプルになるので金額が1/3から1/4に下がるのです。
そして、これに生成AIによるシステム開発の効率化を組み合わせると、更に金額が1/2ぐらいまで下がります。
加えて、最初は機能を欲張らずに MVP(Minimum Viable Product)、つまり最小構成で成立するシステムとして開発すれば金額はグッと下がります。
ぶっ飛びの金額だった1000万円超が、依頼先を選んだ上でMVPにすれば50〜200万円程度の現実的な金額まで下げられます。
つまり、個人ビジネスである士業であっても、自前アプリを持つことが十分に可能なのです。
また、PWA(Webアプリケーション)にすることで、機能の追加や変更は、ネイティブアプリに比べて圧倒的に非常に容易になります。
MVPで始めて、実際に使ってフィードバックを得ながら機能を追加・変更という理想的なシステム開発が可能になります。
デメリットを軽く凌駕するメリット
ただ、ネイティブアプリとPWAとでは何が違うのかが気になると思います。
PWAのデメリット、つまりネイティブアプリにしかできないことは何かということになります。
結論としては、今回ご紹介した士業向けアプリに必要となる機能レベルではほとんどデメリットはありません。
あえて言えば、通知機能とオフライン対応が弱いというぐらいです。
これについてもほとんど無視できます。
具体的には、「通知」については、Androidスマホについてはほぼネイティブアプリと同等です。
iOSは比較すると若干弱いのですが、例えば士業アプリに必要となるリマインドレベルの通知は可能です。
出来ないのは、アプリが閉じてても即時チャット通知するというレベルのことです。
PWAの提供する「オフライン機能」は、教材PDFを一度開いたら、ネットが切れても再読可能なレベルを提供します。
一度アクセスしたものは再利用できるため、士業アプリの場合はほとんど問題はないはずです。
例えば、静的な資料PDFなどは、大量の教材動画や大容量ファイルでもない限りは、オフラインでも継続して閲覧が可能です。
それに、現実問題として、今の日本での日常生活においてオフライン状況になることは考えにくいはずです。
あるとすれば、新幹線のトンネル内、飛行機搭乗中、山間部や災害時ぐらいでしょう。
士業アプリは、そう言った状況でも使えないといけないアプリではありません。
せっかくなので、どういうアプリの場合は、ネイティブアプリにすべきかをご紹介します。
抽象的に表現すれば、端末固有機能を使うアプリです。
具体的には、高度カメラ処理、BLE常時接続、バックグラウンド実行が要件などのアプリです。
BLE常時接続というのは、平たく言うとBluetoothで周辺機器と常時接続して動作するアプリです。
医療、ヘルスケア、スポーツ、フィットネス、店舗内ビーコン、IoT機器接続などをするアプリです。
士業向けアプリとは、ジャンルが全く異なることがわかると思います。
それと全く異なる観点で、大企業や一般消費者向けサービスの場合には、ストア配信がブランド要件なる場合もあります。
そのような場合は、ブランド目的となるため機能に関係なくストア配信が目的になるわけです。
結論として、士業向けのアプリの場合は、PWAにした方がそのメリットがデメリットを遙かに上回るのです。
以上、士業でも現実的な金額で自前アプリが持てるという話でした。
言うまでもなく、他の分野、あなたのお仕事でも有効かもしれません。